
データサイエンティストって、やっぱりつらいの?



「やめとけ」と言われるけど、実際の働き方はどうなの?



つらさを乗り越える方法があるなら知りたい
といった疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
データサイエンティストにつらい面があるのは事実です。ただ、それはどんな仕事にもあることで、実態と乗り越え方を知っておけば、必要以上に不安になる必要はありません。
本記事では、データサイエンティストが「つらい・やめとけ」と言われる理由を、残業・休日といった働き方の実態とあわせて解説し、現役の視点からつらさの乗り越え方まで紹介します。



ぼく自身が現役のデータサイエンティストで、累計300名を超える受講生も見てきました。きれいごとではない現場のリアルと、その乗り越え方をお伝えしますね。
なお、そもそもの仕事内容を先に知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。




データサイエンティストが「つらい・やめとけ」と言われる7つの理由


まず、どんなところが「つらい」と言われるのか、働くうえでのしんどさを7つに整理します。
地道なデータ前処理が業務の8割を占めるから
「データサイエンティスト=かっこよく機械学習モデルを作る仕事」というイメージがありますが、実際はデータの前処理(整形・クレンジング)が業務の大半を占めます。欠損値の処理や表記ゆれの修正など、地道な作業が中心です。



ぼく自身の体感では、前処理に7割、モデルの学習と評価に2割ほどの時間配分でした。しかもモデルの学習はAutoMLツールに任せていたので、自分でコードを書くのはほぼ前処理の部分です。
誤解されがちですが、これは「モデル構築に時間を割けない」というより、そもそも前処理に時間をかけるべきだからです。入れるデータの質が悪ければ、どんなモデルを使っても良い結果は出ません。とはいえ、華やかなイメージを持って入った人がギャップを感じやすいのは確かです。
結果を求められるプレッシャーが大きいから
分析結果が経営判断に直結することも多く、「必ず成果を出さなければ」というプレッシャーがかかります。裁量が大きい分、責任も大きい仕事です。
さらにやっかいなのが、分析は必ず成果が出るとは限らないという性質です。時間をかけて前処理をして、モデルを組んで、それでも精度が目標に届かないことがあります。営業のように「動けば数字が積み上がる」仕事とは、ここが決定的に違います。



だから実務では、いきなり目標スコアを狙わないです。プロジェクトごとに評価指標を決めて、「この時点までにこれくらい行っていればOK」というマイルストーンを置いて進めます。そうしないと、精度が出ない期間ずっと苦しいままになるので。
常に情報をアップデートし続ける必要があるから
AI・機械学習の分野は技術の進歩が速く、学び続けなければ知識がすぐ古くなります。生成AIの登場以降は、その入れ替わりがさらに速くなりました。仕事のあとや休日にも学習が必要な場面があり、これを負担に感じる人もいます。
やっかいなのは、何を追いかけて何を捨てるかの判断が難しい点です。新しい手法やライブラリは毎週のように出てきますが、そのすべてが実務で使えるわけではありません。全部を追おうとすると、勉強しているのに前に進んでいない感覚に陥りがちです。



ぼくのスタンスは、技術を追いすぎないことです。データサイエンティストにはビジネス・エンジニアリング・数学の3つが必要と言われますが、分かりやすいぶん技術ばかり追ってしまいがち。そこはグッと堪えて、「この技術は目の前の課題を解くのに要るのか」で判断したほうが消耗しないです。
正当に評価されにくいから
地道な前処理やデータ基盤づくりは、成果が見えにくく、周囲から価値を理解されにくいことがあります。「これだけ頑張ったのに評価されない」と感じ、モチベーションが下がるケースです。
もうひとつ、分析して示唆を出しても、施策が実行されなければ成果として残らないという難しさがあります。データを見て「この層にアプローチすべきだ」と分かっても、動かすのは別部署です。提案が通らなければ、数字としての実績にはなりません。



だからこそ、伝える力がそのまま評価に直結します。前にも触れたとおり、実務では資料作成やヒアリングにかなりの時間を使います。分析の腕だけを磨いても、相手が動いてくれないと評価されない。ここは目指す段階で知っておいてほしいところです。
相談できる人が少ないから
データサイエンティストはまだ人数が少なく、社内に同じ職種の先輩がいない場合もあります。一人で課題を抱え込みやすく、孤独を感じやすい環境です。
とくに一人目のデータサイエンティストとして採用された場合、分析の進め方が正しいのかを判断してくれる人がいません。コードレビューを受けられず、我流のまま数年たってしまうリスクもあります。



これは学習中も同じで、独学だと相談相手がいないのがいちばんきついです。ただ、初心者同士で集まるのも実は危ないんですよ。初心者目線でおすすめされた本が、中級者から見ると転職には要らない、みたいなことが普通に起きるので。相談するなら一段上の人にしてほしいです。
キャリアプランを描きにくいから
比較的新しい職種のため、ロールモデルが少なく、「この先どうキャリアを積めばいいのか」が見えにくいという声もあります。
さらに、企業によって役割の定義がバラバラなのも、迷いを生む原因です。SQLで集計してレポートを出すのが中心の会社もあれば、機械学習モデルを本番システムに載せるところまで求める会社、研究に近い立ち位置の会社もあります。同じ職種名でも、身につく経験はまるで別物。
裏を返せば、進む方向を自分で選べる職種でもあります。データエンジニア、機械学習エンジニア、プロダクトマネージャー、フリーランスと、経験を活かせる先は広いです。



だから求人票を見るときは、職種名じゃなくて業務内容を読んでほしいです。「その会社で何を任されるか」で、3年後に手元に残るものが変わるので。
スキル習得のハードルが高いから
Python・統計・機械学習・ビジネス理解と、求められるスキルが幅広く、社会人が独学で実務レベルに届くまでには2〜3年かかることも珍しくありません。学習だけに専念できる学生でも1年ほどが目安です。



難易度を大学入試にたとえるなら、実務で使えるジュニアレベルで上智大学や東京理科大学あたり、研究職なら東大・京大クラス。ぼくの感覚だとそれくらいです。統計検定1級の学習時間の目安が300時間程度と言われますが、データサイエンス全体はそれを内包するので、必要な時間はさらに増えます。



だからこそ伝えたいのが、分からなくて当たり前だという前提を持っておくこと。1回で理解できないと「向いていないのでは」と落ち込む方が多いんですけど、そもそもそういう難易度の分野なんですよ。難関大学を目指している人が、1問解けないだけで諦めることはないですよね。
ただ、正しい環境で実践中心に学べば、半年〜1年で実務レベルを目指せます。ぼくが運営するTech Frontier(テクフロ)は9割が実践のスクールで、独学でつまずきやすいポイントを直接サポートします。
データサイエンティストの働き方の実態【残業・休日】


「激務なのでは」というイメージもありますが、働き方は企業の規模やフェーズによって大きく異なります。ここでは、はやたすがデータサイエンティストとして働いていたときの1日を、そのままお伝えします。
現役データサイエンティストの1日のスケジュール





ぼくが独立したての頃に入っていた案件は、9時から17時(正確には17時半)の勤務でした。昼休憩を除くと実働7時間ほどです。
- 9:00 チームで朝一のミーティング。その日の進め方をすり合わせる
- 10:00 前日の続きから分析を進める。前処理のコードを書いて回す
- 12:00 昼休憩
- 13:00 分析の待ち時間に、報告用の資料を作る
- 15:00 データの中身で不明点が出たら、担当部署にヒアリング
- 17:00 モデルの学習を回してから退勤。結果は翌朝に確認する



チームは数人で動くことが多くて、朝一にミーティングが入ります。メンバーが別の会議で集まれないときは10時開始にずらして、その間に前日の分析の続きを進めてました。関係者やクライアントとの定例は、だいたい週1回のペースですね。
実際にコードを書ける時間は1日4〜5時間ほど
ここが、目指す人がいちばん驚くところかもしれません。実働7時間のうち、ミーティングやチームメンバーとのやり取りを差し引くと、自分でコーディングに集中できるのは4〜5時間ほどです。資料作成が入る日は3〜4時間まで減ります。
さらに、実務のデータは個人学習で扱うデータとは重さが違います。前処理を1回回すだけで数十分、特徴量を増やしていくと分析1回に半日から1日かかることも珍しくありません。データ量が多いと、グラフの可視化だけでも時間を取られます。
だから実務では、コードを回している待ち時間に資料を作る、といった並行作業が基本です。モデルの学習は退勤前に走らせておき、翌朝に結果を確認する。そうやって時間を組み立てないと、1日があっという間に終わります。



ヒアリングやメールのやり取り、「このデータの定義はどこに書いてあるのか」を探す時間も地味に積み上がります。思っている以上にコーディングだけに集中できない、というのが正直なところです。
残業・休日は企業によって大きく変わる
大手企業では労務管理がしっかりしており、残業が抑えられている傾向があります。一方でスタートアップや中小企業は、プロジェクトの状況によって忙しさが変動しやすく、繁忙期の残業は増えがちです。
休日については土日休みの企業が多く、リモートワークやフレックス制度を採用している職場も増えています。イメージほど激務ではないケースも多いのが実態です。



ぼくが入っていた案件も定時ベースで、「毎日終電」みたいな働き方ではなかったです。働き方を重視するなら、企業選びの段階で残業時間やリモート可否を確認しておいてください。
データサイエンティストがつらいと感じたときの乗り越え方【現役の視点】


つらさは、対処法を知っておくことで十分に乗り越えられます。現役の視点から、実際に効く3つの方法を紹介します。
目標・目的を振り返る
つらいと感じたときは、「なぜこの仕事を選んだのか」を振り返るのが効果的です。前処理のような地道な作業も、「良い分析結果につながる大事な工程」と捉え直すと、意味を見出しやすくなります。
データサイエンティストにはビジネス・エンジニアリング・数学の3つのスキルが必要と言われますが、技術力だけを高めても現場では戦えません。「この分析は何の課題を解くためにやるのか」を見失うと、手段が目的にすり替わって、余計にしんどくなります。
相談できる場を持つ
社内に同じ職種が少なくても、社外に相談できる場を持てば孤独は解消できます。データ分析の勉強会やコミュニティに参加すると、悩みを共有でき、最新情報も入ってきます。



ひとつ正直に言うと、SNSで顔を知らない人とつながるだけだと、モチベーションの支えとしては弱いです。会ったことのない相手が頑張ってても、自分ごとにはなりにくいので。実際に会える距離感の仲間がいるかどうかで、続けやすさは大きく変わります。ぼくのスクールで東京・大阪のオフ会を続けてるのも、この理由からですね。
環境を変える・転職を検討する
つらさの原因が職場環境にあるなら、環境を変えるのも立派な選択肢です。データサイエンティストの経験は、データエンジニアやAIエンジニア、プロダクトマネージャー、フリーランスなど、幅広いキャリアに活かせます。



「向いてない」と「今の職場が合わない」は、まったく別物です。ここを混同して辞めてしまう人を何人も見てきました。環境を変えたら一気に伸びた、というケースは本当に多いですよ。
データサイエンティストに向いている人・不向きな人


つらさをどう感じるかは、その人の性質にもよります。ざっくり整理すると、次のとおりです。
- 向いている人:論理的に考えられる/情報収集や学習を継続できる/数字やデータの分析が好き/地道な作業をコツコツ続けられる
- 不向きな人:細かい作業が苦手/数字に興味を持てない/学び続けるのが苦痛/一人でコツコツ進めるのが苦手



ただ、不向きに当てはまっても諦める必要はないです。細かい作業が苦手なら、可視化や提案の側に寄せるという手もあります。全部を一人でやる職種ではないので。
向き不向きや「就いてから後悔しないか」をより詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しています。


それでもデータサイエンティストに魅力・やりがいがある理由


つらい面がある一方で、それを上回るやりがいがあるのも事実です。
- 自分の分析が経営判断や事業を動かす達成感がある
- スキルが身につけばキャリアの選択肢が広がる
- データ活用の需要は伸び続けており、市場価値が高い
年収や将来性の詳しい見通しについては、こちらの記事で解説しています。


【まとめ】データサイエンティストはつらい部分もやりがいもある


データサイエンティストには、前処理の多さやプレッシャーといったつらい面があります。しかし、その多くは対処法を知り、環境を選ぶことで十分に乗り越えられます。働き方も、企業を選べばイメージほど激務ではありません。



つらいと言われる仕事ほど、実態を知らないまま判断されがちです。この記事で書いた1日の流れや時間の使い方を、判断材料にしてもらえたらうれしいなと思います。
つらさ以上に、自分の分析が事業を動かす達成感や、高い市場価値といったやりがいがある仕事です。実態を正しく理解したうえで、前向きに目指してみてください。データサイエンティストになるための具体的なステップは、こちらの記事で解説しています。


ちなみに、つらさが一番重くのしかかるのは、独学で一人きりになっているときです。テクフロは9割が実践で、詰まったところを現役データサイエンティストにその場で聞ける環境を用意しています。「続けられるか不安」という方こそ、公式LINEで中身を確認してみてください。
データサイエンティストのつらさに関するよくある質問


最後に、データサイエンティストのつらさについてよくある質問に回答します。
「やめとけ」と言われる一番の理由は何ですか?
もっとも多いのは、華やかなイメージと、実際の地道な業務とのギャップです。この点を事前に理解しておくと、入ってから後悔しにくくなります。



逆に言うと、前処理の地味さを先に知って納得できた人は、入ってから「思ってたのと違う」となりにくいです。
「やめとけ」と言われる理由の見極め方は、こちらの記事で詳しく解説しています。


データサイエンティストになるまで何年かかりますか?
独学では2年ほどかかることもありますが、実践中心のスクールを使えば半年〜1年ほどが目安です。学習に使える時間によっても変わります。



大事なのは期間より、途中で止まらないことです。独学の2〜3年って、実際は「1年やって半年止まる」の繰り返しだったりするので。
データサイエンティストの将来性はありますか?
データ活用の需要は今後も伸びる見込みで、将来性は高い職種です。
詳しくは将来性を解説した記事をご覧ください。「AIに仕事を奪われるのでは」という不安については、こちらの記事で解説しています。














